「信頼」って「行動」だ

大日本報徳社(静岡県掛川市)

取材で、ある経営者の方のお話を伺う機会がありました。その方のお客様の7割以上が、20年近くそこに通い続けていらっしゃるそうです。

「自分を選び続けてもらうために一番大切なことはね【信頼】なの」

そうおっしゃっていたのが心に残っていて、それからずっと「信頼」について考えています。

信頼とは

信頼とは「信じて頼る」と書きます。

自分だったら、どんな人を信じて頼るだろうかを想像すると、やっぱり「誠実な人」かなぁ。

「誠実」について考えるときは二宮尊徳(にのみや そんとく)の「報徳思想」を思い出します。「報徳思想」の中でも特に「至誠」について考えます。「至誠」とは「きわめて誠実なこと、まごころ」という意味です。

二宮尊徳は江戸後期の農政家であり思想家ですが、幼名は二宮金次郎です。そうです、よく学校にあるあの像の人です。

報徳思想【至誠】
すべてのものに良い結果を与える理念として、「まごころをもって事に当たる」こと。

引用元:掛川市公式ホームページより

「まごころを持って事に当たる人」、ああ、そういう人は誠実そうです。信頼できそうです。

まごころってなんだろう

「まごころ」とは、相手のことを心から思うこと、相手がよろこぶことをしたい、相手の役に立ちたいという気持ちのことだそうです。

「至誠にして動かざる者は、未だ之れ有らざるなり」という孟子の言葉もあります。意訳をすると「まごころを持って接すれば、人の心は必ず動く」ということでしょうか。

似た言葉で「巧詐(こうさ)は拙誠(せっせい)に如かず」もあります。巧みにごまかしたものは、拙くても誠意・真心のあるものには及ばない。という意味です。まごころが伴わないものには、人の心は動かないどころか、不信感を抱いてしまいます。

まごころは、言葉では伝わらない

報徳思想の「至誠」は次のような解説も続きます。

人に対して才知や弁舌は有効かもしれないが、鳥獣や草木を説くことはできない。
至誠と実行は米麦、野菜、草木にまで反映を及ぼす重要な教えであると説いている。

引用元:掛川市公式ホームページより

動物や植物は人の言葉がわかりません。動植物に雄弁に語っても何も説得させることはできませんが、まごころを込めて接すればそれに応えるように成長していきます。行動は、言葉を交わさなくても伝わるんです。

そういえば、「信頼が大切」とおっしゃっていたあの経営者の方は、趣味は植物を育てることと話されていました。言葉ではなく行動で、花を咲かせ、実を実らせ、種を後世につないでいくという行為は、誠実な人でなければ成し得ないことなのでしょう。

信頼されたいと思うのであれば、それはやっぱり行動で示すしかないんだろうな、と思う今日この頃です。


ちなみに「報徳思想」、私の好きな言葉なのですが、そっとご紹介しておきます。

12年ほど前に、静岡県掛川市の大日本報徳社で「報徳思想」についてお話を伺う機会があり、以来とても影響を受けている考え方です。

報徳の教え「四つの柱」
報徳の思想を形成する四つの柱は、「至誠」「勤労」「分度」「推譲」という言葉で表されています。

【至誠】
すべてのものに良い結果を与える理念として、「まごころをもって事に当たる」こと。
人に対して才知や弁舌は有効かもしれないが、鳥獣や草木を説くことはできない。
至誠と実行は米麦、野菜、草木にまで反映を及ぼす重要な教えであると説いている。

【勤労】
「勤労」とは、「積小為大」という言葉に代表される考え方。
大きな目標に向かって行動を起こすとしても、小さなことから怠らず、つつましく勤めなければならない。
「今まく木の実、後の大木ぞ」という尊徳の有名な言葉が残されている。

【分度】
「分度」とは、適量・適度のこと。
分度をしっかり定めないままだから、困窮してしまうし、暮らし向きも楽にならない。
家計でも仕事でも、現状の自分にとってどう生き、どう行うべきかを、知るということが大切。

【推譲】
「推譲」とは、肉親・知己・郷土・国のため、あらゆる方面において、譲心を持つべきである。
分度をわきまえ、少しでも他者に譲れば、周囲も自分も豊かになる。

引用元:掛川市公式ホームページより

この記事を書いた人

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