Suddenly I See

今回は思い出話。

「美人を見ると悲しくなる」と、会社でつぶやいたことがありました。自分が美人ではないからです。

ものすごくいいデザインを見たときも、誰かの圧倒的な実績を見たときも、「ああすごい!」と思うと同時に「どうしようもなく悲しい」という気持ちになります。

自分にそれがないことが、悔しくて、恥ずかしいからです。

Suddenly I See

webデザイナーになって間もない頃、新人の私の手には負えないような案件を任されたことがありました。足りない技術は必死に作業することで補うしかなく、連日の残業の中、会社のラジオから流れていたのが『Suddenly I See』でした。

当時、映画『プラダを着た悪魔』が公開されていて、その主題歌としてよく取り上げられていた曲です。

その時は映画を見に行くような余裕も無く、英語の歌詞もわからないので、当然この歌の背景は何も知らないものの、ラジオから『Suddenly I See』が聞こえてくるたびに「とにかく進まなきゃ」という気持ちになっていました。

数年後、初めて『プラダを着た悪魔』を見て、その歌詞の意味を知りました。

「Suddenly I See」とは「突然わかったの」という意味です。そして「This is what I wanna be」(これが私のなりたい姿だって)に続きます。

『プラダを着た悪魔』は、ファッションには無頓着な、硬派なジャーナリストを目指す女性が、ひょんなことから世界で最も有名なファッション誌の編集長のもとで働くことになるというお話です。登場人物たちの仕事や人生の価値観を通して「自分にとって本当に大切なものは何なのか」に気付くことがテーマになっています。

主人公の女性アンディは、悪魔のような上司ミランダのもとで真剣に仕事に向き合っていきます。ミランダの生き方を通し、「自分が本当になりたかった姿」に気が付くのです。

悲しくなったり悔しくなったり恥ずかしくなったりするのは

「美人を見ると悲しくなる。自分が美人じゃないから」とつぶやいた時、同僚の子が言いました。

「それはね、美人になることを諦めていないからだよ」

ああ、そうか。私はオリンピックの金メダリストを見ても悲しくならないや。スポーツができないことは悔しくないや。

何かを見て、悲しくなったり悔しくなったり恥ずかしくなったりするのは、その中に自分が本当に欲しいものがあるからなんだ。

それ以来、自分の感情が動いた時は、何かの核心に触れている時なのだと思うようになりました。本当に欲しいもの、本当にしたいこと、本当になりたいもの。まだ言葉でうまく言えないけど、きっと私はそういう、人の心を動かすような何かを作りたいのだと思います。

余談

ちなみに私、聞き間違いが多くて、ずっとラジオで「Suddenly I See」が「サルビアン シー」に聞こえてました。サルビアン、ご存知です?安城の環境戦隊です。サル〜ビア〜ン♪

この記事を書いた人

WEBディレクターmot project
webデザイナー・コーダー・ライター|グラフィックデザイナー|イラストレーター|ウェブデザイン講座講師|ワードプレス講座講師
Adobe Illustrator、Photoshop、InDesign、Dreamweaver
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